消火器の内部及び機能点検抜き取り本数・確認ロット・点検手順をわかりやすく解説
「製造から何年で内部点検が必要?」「10%と50%はどう違う?」「どこまでを同じロットにする?」という疑問を、消防庁の点検要領をもとに整理します。
原則として内部・機能点検の対象
原則として内部・機能点検の対象
ロットの区分で変わる
1. 内部及び機能の点検はいつから?
内部及び機能の点検では、外側から見えない容器内部、消火薬剤、部品の状態などを確認します。開始時期は加圧方式によって異なります。
原則、製造年から3年を超えたものが対象。化学泡消火器は別基準です。
原則、製造年から5年を超えたものが対象です。
2. 器種ごとの点検本数・放射試験の目安
内部点検の対象が全数か抜き取りかは、消火器の種類と加圧方式で決まります。さらに、放射能力を調べる本数にも別の割合が定められています。
| 消火器の種類 | 加圧方式 | 点検対象になる時期 | 放射能力以外 | 放射能力の確認 |
|---|---|---|---|---|
| 水 | 加圧式 | 製造から3年超 | 全数 | 全数の10%以上 |
| 水 | 蓄圧式 | 製造から5年超 | 抜き取り | 抜き取り数の50%以上 |
| 強化液 | 加圧式 | 製造から3年超 | 全数 | 全数の10%以上 |
| 強化液 | 蓄圧式 | 製造から5年超 | 抜き取り | 抜き取り数の50%以上 |
| 化学泡 | 加圧式 | 設置後1年超 | 全数 | 全数の10%以上 |
| 機械泡 | 加圧式 | 製造から3年超 | 全数 | 全数の10%以上 |
| 機械泡 | 蓄圧式 | 製造から5年超 | 抜き取り | 抜き取り数の50%以上 |
| 粉末 | 加圧式 | 製造から3年超 | 抜き取り | 抜き取り数の50%以上 |
| 粉末 | 蓄圧式 | 製造から5年超 | 抜き取り | 抜き取り数の50%以上 |
※ 消防予第557号・別添1の区分をもとに整理。車載式消火器は放射能力の確認を除きます。
3. 確認ロットの作り方
抜き取り方式では、まず同じ条件の消火器を1グループ(確認ロット)にまとめます。
例:粉末
小型 / 大型
加圧 / 蓄圧
この3条件が同じものを基本の1ロットとします。メーカー名や容量が違うという理由だけで、原則として別ロットにはしません。
古い消火器は別ロット
3年超〜8年以下のものと、8年超のものを分けます。
5年超〜10年以下のものと、10年超のものを分けます。
例えば、同じ小型・蓄圧式の粉末消火器でも、製造から6年のものと11年のものは、同じロットにはできません。
4. 抜き取り本数はどう決める?
5年間で全数を確認するロット
加圧式粉末の「3年超〜8年以下」と蓄圧式の「5年超〜10年以下」が対象です。通常、機器点検は年2回なので、5年間なら約10回です。
毎回2本ずつ、なるべく製造年が古いものから選び、5年間で20本全部の内部及び機能を確認します。放射能力の確認は、各回の抜き取り2本の50%以上なので最低1本です。
2.5年間で全数を確認するロット
加圧式粉末の8年超、蓄圧式の10年超は、約5回の点検で全数を確認するようにします。
各回4本を抜き取り、放射能力はその50%以上なので最低2本を確認します。実際はロットの本数や製造年、過去の確認履歴から配分を調整します。
5つのロットに分けた抜き取り時期の例
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ロットの本数ごとの抜き取り配分例
図を大きく開く ↗
5. 内部及び機能の点検手順(概要)
実際の分解・再組立ては、消火器の型式別手順と安全措置を確認できる有資格者・専門業者が行います。ここでは作業全体の流れをまとめます。
加圧式消火器の確認
- 総質量または薬剤量を確認表示値と実測値などを照らし合わせます。
- 必要な安全措置を行い、内圧を確実に排除残圧がある状態ではキャップを外しません。
- 容器・加圧用ガス容器・消火薬剤を確認型式に応じた方法で内部部品、薬剤の量や状態を調べます。
- 清掃・部品点検・復旧腐食や損傷、詰まり、パッキンなどを確認し、所定の方法で復旧します。
加圧式の化学泡消火器の確認
- 内筒の状態・薬剤量を確認設置後1年を超えたものが対象。内筒、液面表示、消火薬剤の量などを点検します。
- 容器と部品を清掃・点検キャップ、ホース、ノズル、ろ過網、内筒などの腐食や詰まりを確認し、メーカー手順で復旧します。
蓄圧式消火器の確認
- 総質量と指示圧力計を確認薬剤量、圧力計の表示状態を確認します。
- 安全に内圧を排除必ず機種ごとの指定手順で完全に排圧します。
- 容器内部と消火薬剤を確認バルブ、ホース、サイホン管などの状態も確認します。
- 清掃・再組立て・機能の確認粉末消火薬剤は水分を避け、メーカーの整備要領に従って復旧します。
加圧状態のままの分解、腐食した容器への無理な操作、湿った工具や容器への粉末薬剤の再充填は危険です。点検中に現場から消火器を移動する場合、必要に応じて代替消火器を設置してください。
6. 耐圧性能点検・不良時の対応
製造から10年超の消火器
内部及び機能の点検とは別に、製造年から10年を超えた消火器には耐圧性能点検が必要です(原則として二酸化炭素・ハロゲン化物消火器を除く)。その後も前回の耐圧性能点検から3年を経過する前に必要な対応を確認します。外観点検で容器の腐食等が認められた場合は、年数にかかわらず耐圧性能を検討します。
抜き取りで異常が見つかったら
消火薬剤の固化や本体容器内面の塗膜剥離など、一定の欠陥では、同一メーカー・同一質量・同一製造年のものを追加で確認する必要があります。欠陥の種類に応じて整備・交換・廃棄などを判断し、記録に残します。
なお、メーカーが定める設計標準使用期限や交換推奨期間を確認し、老朽化した製品を長期間使用し続けないことも大切です。
まとめ|迷いやすいポイントを3つに整理
- 加圧式は原則3年超、蓄圧式は原則5年超から内部・機能点検の対象。
- 水・強化液などの加圧式と、粉末・蓄圧式では全数と抜き取りの扱いが違う。
- ロット分け、5年/2.5年の確認期間、放射能力の抜き取り割合は、それぞれ別に考える。
点検対象と本数が決まったら、製造年・型式・直近の点検記録を照合して、未確認の器具を優先的に抽出しましょう。
参考資料
※元記事の文章や図をコピーせず、内容を再構成した独自の記事です。